Vol.316 第18回『チーム医療症例検討会in石巻』を開催しました

7:仙台ひまわり訪問看護ステーション
チーム一丸となった取り組みして、食べる喜び、楽しみを回復した症例ですが、リハビリスタッフの支 援力がとても光った症例かと思います。リハビリテーション医学のパイオニアである上田敏先生は、リ ハビリは単なる身体機能細部に限定せず、全人間的復権として人間らしい生活実現を目指すことを説き ました。そういった意味で、上田理論をまさに具現化した症例であったと思います。

8:介護老人保健施設 しおん
介護老人保健施設では、福祉系を中心にヒューマンサービス系の自立支援が大きな目標になっているか と思います。自立支援について、身体機能を変える自立と捉えた説ですが、就労や教育、学習、創作と いった生きがいなど、社会参加活動も多様であります。
今年、亡くなられた詩人・画家の星野富弘さんは口で筆をくわえて絵画や詩を作成。大江健三郎さんの ご子息の知的障害を持つ大江光さんは、音楽活動で活躍されています。落語家の三遊亭楽太郎さんは、 「言葉を借りて、相手の気持ちの中で自分の気持ちを話してやること。気持ちを乗せ相手に話してやる 。引き先じゃダメです」というようなことをおっしゃっていますが、まさにコミュニケーションの真髄 を言われているように思います。

9:介護老人保健施設 ライフサポートねりま
とても難易度の高い対象者で看取りを希望し、本人の「麺を食べたい」という希望を実現した発表でし た。支援チームは介護福祉士だけではありませんが、ここで介護福祉士の名称について述べたいと思い ます。
学術会議でこの国家資格の介護福祉士について論争があり、「介護士や看護助士でもいいのではないか 」という声を退けて、「介護を通じて本人の幸せを実現する」という意味を込めて介護福祉士という名 称を主張しました。もちろん、施設によって介護士をお使いになられたり、介護助手をお使いになられ たり、それは施設独自のお考えですので、私は良いかと思っております。

10:介護老人保健施設 オアシス21
今回の症例発表で、「もう死にたい」と考えた方から「生きたい」と願い、演奏活動を踏み出すという 学びの多い発表でした。私の経験した症例にも、全盲で知的障害の方のバンド演奏を聴いたことがあり ます。それは素晴らしいハーモニーでした。施設の理念はどんな障害だろうと受け入れ文化を追求し、 誰しも人生を追求しています。その時に演奏された、ゆずの「栄光の架橋」のハーモニーに、大変素晴 らしい感動をいただきました。本日も10本の症例発表を拝聴し、大変私自身の参考になりました。

後半は医療9題の症例発表が行われました。座長は石巻健育会病院の永野功院長に務めていただきました。