研究会の冒頭では、私から皆さまへ開会のご挨拶をさせていただきました。
長きにわたる歴史の中で、発表の構成やプレゼンテーション技術、そして質疑応答の質は着実に向上しています。まさに「継続は力なり」の言葉通り、各病院・施設が真摯に学び、準備を重ねてきた成果が随所に見受けられます。
一方で、20年という歳月を経て、改善すべき課題も見えてきました。日々の忙しい業務の中で、なぜ研究を行うのか。その目的を今一度、再確認していただきたいと思います。
本研究会の目的は、「論理的な思考を身に付けること」にあります。
私自身、かつて大学病院で勤務していた8年間、基礎研究を通じて論理的思考を徹底的に叩き込まれました。多忙な業務の中で研究を行う厳しさは、私自身も身を以て経験しています。しかし、そこで培われる論理性は、臨床やチーム医療、さらには経営の場においても不可欠なものであり、人間の成長そのものに関わるものだと確信しています。
私たちが日常的に行う医療行為は、本質的には患者さんに対する「傷害行為」です。メスを入れる、縫う、あるいは身体に触れる。これらが傷害罪に問われないのは、私たちが国家資格を持ち、その行為が論理的な根拠に基づき、患者さんの回復に直結していると担保されているからです。
皆さんは「患者さんに傷をつける行為をしている」という自覚を持ち、常に論理的な思考に基づいた将来を見据えたケアを実践しなければなりません。
20年の歩みの中で、皆さんの中にも「科学者としての思考」が芽生え始めています。
自らの実践を振り返り、言語化・数値化して他者に伝える。そのプロセスを経て初めて、技術は再現性を持ち、組織の力となります。
ここで改めて強調したいのは、「データの客観性」です。計測したデータを、主観的な考察で論じてはいけません。それは論理の飛躍です。自ら導き出したデータから判明した事実のみを論じ、発表してください。
論理的な発表と質疑応答ができてこそ、科学者としての第一歩を踏み出したと言えます。この節目を機に、改めて科学者としての自覚を持ち、新たなスタートを切ることを期待しています。

