Vol.343 「健育会グループ第20回看護・リハビリテーション研究会」を開催しました

6演題目-地域包括ケア病棟においては、軽症から重症まで幅広い患者さんの自宅復帰を支援する必要があります。重症例であれば、回復期リハビリテーション病棟へ繋ぎ、段階的に自宅復帰を目指すのが標準的な流れです。短期間で確実に復帰へと導くための戦略的な研究を積み重ねてほしいと期待しています。

7演題目-感情推定AI「心sensor」を活用することで、具体的にどのような臨床的効果をもたらすのかをより明確に定めていただきたいと思います。特に、感情測定のデータはうつ症状の客観的な判断材料にもなり得ます。AIによる推定結果と症状の関連性を精査し、臨床現場での実用性を高めていってください。

8演題目-足関節の可動域制限が胼胝形成を誘発するという知見に対し、今後は、どのような処置を講じれば形成を阻止できるのか、という予防的視点での検証を期待します。各専門職が強みを発揮しつつ、多職種で連携して取り組むことが重要だと感じました。

9演題目-過去の蓄積されたデータを活用すれば、数千例規模の膨大な情報を得ることが可能です。それらのデータを駆使し、改善が見込める症例とそうでない症例を明確に判別し、解決策にまで踏み込んだ、具体的な指標を導き出してほしいと思います。

最後に、長谷川友紀先生より、全体の総評をお話いただきました。

活発な議論を通じ、今年も着実なレベルアップを実感しました。看護とリハビリテーションではそれぞれの特性が異なります。看護は対象が多様で、質的研究のように言葉をコード化する膨大な努力を要しますが、正当な評価が得られにくい現状があります。また、対象となる方が非常に多いため、測定の方法も多種多様です。

対してリハビリテーション研究は測定方法が標準化されており、日常業務として「測ること」に長けています。しかし、なぜ測定するのかという根本を見失いがちです。リスクの特定や介入方法を示し、「当たり前の事実」を証明することも立派な成果であると認識してください。

研究発表の質を高める上でのポイントをいくつかご紹介したいと思います。
まずは「タイトル」です。タイトルは2行以内に収め、詳細はサブタイトルを活用しましょう。
「研究背景」では課題を簡潔に示し、短く簡潔なスライドで聴衆を惹きつけ、研究の価値を一目で分からせるようなインパクトを与えてください。
「研究デザイン」は、複雑な構成は図解して可視化しましょう。竹川病院の「回復期脳卒中患者に対するコンピューター注意課題の効果
~受動的注意を指標としたクロスオーバー研究~」の図示は、非常にわかりやすいものでした。

「データ開示」で必ず示すべきことは「基本属性」と「一般的指標との比較」です。介入群との差がないこと、自分たちの病院の患者さんが世間一般と乖離していないことを証明して初めて、データの妥当性が担保されます。