

この研究会は長いもので、今回で19回目となります。発表の仕方や、質疑応答は大変レベルアップしており「継続は力なり」と思わせる進歩が、様々な箇所で見受けられました。それぞれの病院でしっかり学んできた背景が見て取れます。
一方、19回という積み重ねの中で、研究がマンネリ化しているような部分も見られました。
発表の土台となる基盤は向上していますが、緻密性に欠けている印象があります。論理的な思考がまだまだ身についていないように感じました。
バックグラウンドは、日頃悩んでいる事柄や日々の課題からテーマを取り上げてもらって構いません。
しかし、その後のデータでの解析や、バイアスの確認といった分析は、科学的な考え方で数値化をする必要があります。皆さんの研究発表には、「考察」から「結論」に至る箇所に、科学的な匂いがしません。もう少し科学的側面を出さないと、せっかくの研究発表が中途半端なものになってしまいます。

科学的根拠を明確化させないと、皆さんの科学者としての自覚が育たず、研究をした意識を持てないまま、ただ時間だけが過ぎてしまいます。
毎日忙しい臨床の中、研究を行うことはとても大変だと思いますが、やるからには科学的根拠をしっかり掲げ、自分は科学者であるということを理解したうえで研究に臨んでください。
それでもやはり「継続は力なり」。発表の形はとても良くなってきました。伸びた部分は継続させ、改善点は対策をし、来年の研究発表に向けて更なる進化を遂げていってください。