今回の健育会グループwebサイトのリニューアルを機会に、理事長として感じたこと、考えたこと、また皆さんに共有してもらいたいことを発信していきたいと考えています。是非ご愛読下さい。よろしくお願いします。
さて第1回目のテーマは「見える化」です。
2010年の年頭に「見える化」と「人を大切にする」ということを、私はグループの職員に向けて話しました。その中で、今回は「見える化」についてお伝えしたいと思います。「見える化」とは、「問題点を常に“目で見える”ようにする」こと。すなわち、問題が発生しても“見えること”ですぐに解決できる環境、あるいは問題が発生しにくい環境をつくるということです。
では、健育会での「見える化」とはどういうことでしょうか。
1つは医療現場での『業務の「見える化」』です。病院は医師をはじめ国家資格を持つ医療専門職の集団。どうしても仕事は”縦割り”で隣の人の仕事にまで意識を持てないことになりがちです。しかしそれでは、患者さん・利用者さんにとって最適な医療・介護をご提供できないと考えています。医者、看護師、セラピストが、業務を“見える化”してそれぞれの情報を共有することで、専門家がチームとして機能し、事故を未然に防いだり、医療現場での業務の効率化を進めることはもちろん、最適な医療・介護を患者さんにご提供することができます。私たちは、各現場でTQM活動を推進することで現場の問題点を洗い出し、常に改善しています。これも「業務の“見える化”」の1つです。この活動も一定の成果を上げていますが、今後も改善をめざして取り組んでいくことが大切だと考えています。
もう1つは、『患者さんの将来の「見える化」』です。
入院された患者さんの病状を過去の症例と照らし合わせると、将来起こりうる症状や病気の可能性が予想できます。それらを入院される時点で示唆し、もしも病状が悪化した場合、急性期病院への転院や、延命処置を行うかどうか。それらのメリット・デメリットについて適切な説明をし、話し合うのです。高齢で慢性期の患者さんにとって、それは時にどのような最期を迎えたいかということになります。このような話し合いをしてみると、過剰な延命処置を行わないで当院で最期を迎えたいとおっしゃる方が多いことに驚きます。今まで医学は「不老長寿・延命」をその目標の1つとして発展してきました。しかし現在では、生き方の質が問われているとともに、終末期に置ける延命処置のあり方が問われているのだと実感します。個人の意志の尊重のためにも『患者さんの将来の「見える化」』はとても重要な取り組みだと考えています。
健育会グループにおいては、患者さん・利用者さんとの信頼関係を大切にし、今後も「見える化」を推進することで、医療・介護の質を高め、人間としての尊厳を最大限に受け止める医療・介護をご提供していきたいと考えています。