>Vol.34
>理事長トーク
HOME

タイトルバー

NHKドラマ「負けて、勝つ~戦後を創った男・吉田 茂」を毎週、楽しみに見ていました。日本の戦後復興に尽力した元首相、吉田茂(1878~1967年)を主人公にしたドラマです。私が特に興味深く思えたのはドラマでありながら、歴史的事実に忠実に基づいていた点です。

実は私は6年程前に、日本がなぜ戦争を行ったのかを知りたいと思い、帝京大学文学部教授 筒井清忠先生のご協力を得て、興味を持った仲間数人で「大正末期から日本国憲法制定まで」の歴史を勉強したことがあります。そのような背景から、「吉田 茂」を主人公としたドラマに興味を持ち観はじめました。初めは、そうは言ってもドラマはフィクションであり、ストーリーを面白くするための味付けとして事実とは異なる形で話が展開する場合も多く、あまり期待はしていませんでした。しかし今回のNHKドラマは、私が知る事実に忠実に描かれており、感銘を受けました。

とは言うものの欲を言えば、ドラマのストーリーに関しては、GHQが日本国憲法の草案をつくる場面をもう少し詳しく描いて欲しかったという個人的な要望はありますが、内容としては非常に有意義に見させて頂きました。特にマッカーサーが、「君たちは勤勉で、協力精神がある。我慢強く、完璧主義だ。その組織力があれば経済的に発展するだろう。」と、まさに日本人の特性ついて語る場面や、一方で、戦後すぐの内閣の中で、「戦争をしたのは軍部が悪い」という曖昧な表現で責任の所在を明らかにしない大臣達の姿勢に、吉田茂が日本人の現実認識の甘さを指摘し、だから日本は戦争に突入したのだと話す場面も印象に残りました。歴史にif(もしも…)は、無意味なことではありますが、いくつかの局面(たとえば三国同盟、南方進出など)で時のリーダー達が異なる政治的選択をしていれば、日米開戦は避けられたと述べている専門家もいます。

U.S Naval Hstorical Center 憲法改正時の会議録

理事長トーク