2015.10.6
「経営を学ぶためには、たくさんの経営者の生きた話を聞くのが一番だ」
そう私にアドバイスをくださり、医師として初めて経済同友会に入るきっかけをくださった私が最も尊敬する人、小林陽太郎さんが2015年9月5日に逝去されました(享年82歳)。
長きにわたり富士ゼロックス社長・会長を務められた小林陽太郎さんは、外資系企業の経営者で初めて経済同友会の代表幹事に選ばれた方でした。就任当初から、「市場主義の先にある理念を探していきたい」と企業の社会的責任の考え方を早くから訴えられました。また企業統治(コーポレートガバナンス)の必要性を早くから主張するなど、利益のみを追う企業のあり方に警告を鳴らし、自身もよりよい社会の実現に向け様々な取り組みを実践されていました。
私が大学病院を経て健育会の経営に参加するようになった80年代、私は医師としての経験は積んでいましたが、経営者としての経験は全くありませんでした。そこで、妻の親戚であり、当時富士ゼロックスの社長で経済同友会の副幹事をされていた小林さんに、経営を学ぶためにはどうしたらいいのかを相談に行きました。すると冒頭のアドバイスをいただき、当時、医師として初めて経済同友会に参加するきっかけをくださいました。その後、私は経済同友会を通じて日本を牽引する経営者や各省庁の役人に会い、話を聞き、経営というものを実学で学ぶ機会に恵まれました。