『医療タイムス』2012年5月14日の特集記事「新病院開設を進める医療法人の成算」で、健育会グループの経営について私のインタビューを中心にまとめられた記事が掲載されました。
今回の理事長トークでは、その内容についてまとめました。
1996年、当時を振り返ってみると、私が健育会グループの理事長になった直後に出された規制改革委員会の答申は、非常に印象的でした。答申の中で『医療分野も規制改革の対象であり、例外ではない』と示されたのです。それまで、医療や福祉、社会保障は聖域として規制改革の対象外でした。しかし、それは国家の財源が豊富であることが前提であり、財源が厳しくなれば、医療の財源が増えることはないだろうとその以前より私は考えていたため、その答申には賛成でした。そして、規制改革の基本的な考え方として示された「経営努力、マネジメント能力があるところが効率的かつ、良いサービスを展開する」に共感し、以来、私もその考えのもとに健育会グループの運営を行っています。
今、グループ経営を行っていて私が感じているのは、スケールメリットの効果です。当初は、病院経営におけるスケールメリットの効果は特に重要視してきませんでした。しかし事業を進めていく上で、教育、研修、人事、購買力、資金調達においては、スケールメリットがプラス面として作用し、経営に与える影響も大きくなってきていると感じる様になってきました。分かりやすい例ですと、これまでもご報告してきましたが、東日本大震災で被災した宮城県の石巻港湾病院と福島県のいわき湯本病院を、グループ全体で支え、早期復旧することができましたことが挙げられます。
震災は大変不幸な出来事でしたが、この災害により健育会グループで働いている職員の使命感の高さ、グループの絆の深さを感じ、これまで行ってきた「グループの進むべき方向性(MVV)を共有するための理念教育」「院内・院外教育研修制度」「理事長賞や人事制度をはじめとする人を評価する仕組み」がしっかり根付いてきていることを実感することができました。