田中院長は国立病院で30年間勤務された後に、健育会グループに入職されました。それから早いもので5年が経ちます。今回は、田中院長が感じた国立病院(急性期)と民間病院(慢性期)の違いや、慢性期医療の目指すべき姿について語り合いました。
- 竹川
- 田中院長は国立病院に勤務された後、健育会グループに入職されましたが、国立病院と民間病院の違いなど感じられましたか?
- 田中
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そうですね。現在は独立行政法人化で国立病院も変わっているかもしれませんが、私が勤めていた頃は「親方日の丸」という意識で、医療器具の使い方一つをとっても、無駄の多い使い方をしていたように思います。一方でその頃は、民間病院は経営第一で患者を無視した医療を提供しているのではないかと誤解していました。しかし、健育会グループに入職して気づいたのは、医療の質を落とさず無駄を省いた効率的な経営が可能なのだということです。特に、医療と経営の責任を明確に分けた「ツートップ制」は、すばらしさを日々実感しています。
- 竹川
- 病院は国立であれ民間であれ、継続性が大切です。病院は絶対継続して行かなければならないのです。かつての国立病院は国からの補助金があるから絶対に潰れない。
しかし民間は自分たちで利益を出していかないと潰れてしまいます。私が健育会グループに入り、西伊豆病院の院長として着任した時には、通常の病院と同じように医療と経営の2つの役割を担っていました。しかし、経営者に求められる役割や責任と、医療部門を統括する者に求められる役割や責任とはまったく別のものです。それを一人の人間が担うには、時間的にも体力的にも限界があり、それこそどちらもおろそかになってしまいます。そこで、医療と経営をしっかりと両立させるために考えついたのがツートップ制だったのです。
- 田中
- 理事長が医師であるからこその発想ですね。私の友人で国公立病院の院長をしている者もいますが、医師としての仕事より病院経営や対外的な会議への出席等が多くなり、ストレスを抱えているという話を多く聞きます。私の場合は、もちろん病院経営についてもマネージングディレクターと話し合いを行いますが、理事長の狙い通り、医療の責任者として医療の質の向上に専念することができています。
- 竹川
- そうですか。それはツートップ制がシステムとして浸透してきたということで、とても嬉しいですね。