2016.11.9
2016年11月5日(土)、ホテルオークラ東京(東京都港区)にて健育会グループ平成28年度医師研修会が行われました。
今回は、「終末期医療における医師のリーダシップ」というテーマです。外部講師にご講演を頂き、その後、医師研修会では初めてとなるグループディスカッションを取り入れて、健育会グループを牽引する医師・看護部長と終末期の医療について考えました。
冒頭、私から今回の研修の目的について、以下のような話をしました。
日本の大きな問題のひとつに、「平均寿命と健康寿命の差が10年」ということがあります。この差が生まれる要因は様々ですが、そのひとつに治る見込みのない患者さんに行ってしまう「無意味な延命治療」があると言われています。
その背景には様々な理由がありますが、1つ目は「日本人の宗教観のなさ」が挙げられます。日本人は宗教観を持たないために、多くの人は、本人や家族の死を迎える準備ができていないのではないかという点です。二つ目には、「医師への過度な期待」があると思います。お医者さんなら、90歳でも100歳でも、病気を治して元気にしてくれるだろうと、過度に期待しがちです。それはすなわち「老衰を認識できていない」ということだと思います。また、医師もきちんと「老衰ですから、この状態から治療をしても、本人にとってもご家族にとっても好ましい状態にならない」と説明できるだけの技術や度量がなく、加えて患者さん家族との信頼関係が希薄であることから、看取りが行われていないのが実情だと思います。