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目指すのは
地域で存在意義のある病院づくり

健育会グループは全体で職員約3300人を擁する組織となった。竹川は理事長就任当初に掲げたミッション「光り輝く民間病院グループ」を実現すべく、これを職員に浸透させるビジョン・バリューを策定しているが、常に全職員に浸透させるのは容易ではないと言う。「ミッションがお題目になっているところと、職員の魂に入り込んでいるところでは雲泥の差がある。どうやってミッションを魂に入れるかはいつも考えている」

具体的には、入職後に行われる研修で竹川がグループの進むべき道について丁寧に話しているほか、各病院で毎年グループの方針を踏まえて「1年後の姿」を定め、それを現場に落とし込んできた。さらに、理念共有プロジェクトと題して、理念を達成したときの各病院・施設の姿を職員らで議論し、それを映像化。シナリオ作成・出演なども職員が行った。竹川は「職員がストーリーを考えて、それを自分たちで演じることで、自分たちが働く病院が目指しているものを体験するいい機会になった。そういうふうに、職員が目指す姿について考える場をできるだけ多くつくっていくことが大切だと思っている」と話す。

さらに新たな展開として、2017年11月6日には、情報・医療分野の研究機能を有する慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスとの協定のもと、これまで同グループが実践してきた臨床と研究・教育の融合により新たな価値の創造を目指す湘南慶育病院をオープンした。同院は神奈川県藤沢市の掲げる「健康と文化の森」地区内の中核施設としても位置づけられており、産官学連携で地域住民が安心して健康に暮らし続けることのできる魅力的な地域づくりに取り組んでいく方針だ。

「計画自体は非常に順調に進み、無事オープンすることができた。ただ、問題はこれから。民間が運営するからには、黒字経営で新たな価値を創造し地域に貢献しなければ意味がない。今後は、これまで当グループが培ってきた経営手法を用いて、しっかりと目的を達成していきたい。また、ほかの病院についても人口減少や医療・介護ニーズの変化など各地域によって異なる課題を抱えている。各病院が地域において質の高い医療・介護サービスを提供し続けることによって、存在意義のある病院を目指していきたい」と竹川は未来を見据えている。(本文、敬 称略)

理念と経営哲学

▼経営の仕組みづくり
各病院に経営を担うマネージングディレクターを配し、診療との分離を図る。
各病院の経営管理はマネージングディレクターが担い、本部が支援する。
▼理念を考える場をつくる
多くの拠点を持っているため、理念の浸透には力を注ぐ。「1年後の姿」の策定や理念ビデオの制作など職員が理念について考える場をつくる。

月刊 医療経営士 2018年2月号
発行人 林 諄
編集人 阿部 望
発行所 株式会社 日本医療企画

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