1996年、私が健育会グループの理事長になった直後に出された、第1次橋本内閣規制緩和委員会の答申は、非常に印象的でした。それまで、医療や福祉、社会保障は「弱者救済」という考え方から、聖域として規制緩和の対象外でした。しかし当時、答申の中で『医療分野も規制緩和の対象であり、例外ではない』と示されたのです。そして、規制緩和の基本的な考え方として示された「経営努力、マネジメント能力があるところが効率的かつ、良いサービスを展開する」や、「限られた財源の中で効率的に質の高い医療を提供するためには、株式会社による病院経営が不可欠」という提言があり、その考え方に共感し、以来、私もその考えのもとに健育会グループの運営を行ってきました。
また、その後2007年には経済同友会の規制改革委員会の副委員長(医療分科会 分科会長)も務めさせて頂き、「医療経営の自由度を高めると共に、公的保険の役割と適用範囲を見直すことにより、公費負担増によらない医療サービスの質的向上と量的確保を実現する。」ことなどを提言としてまとめました。
(注1)審議の状況により、項目の入替・追加等を行うことがあり得る。
(注2)◎、○は優先的に検討すべき事項
医療を本質的なサービス業と捉える私にとって、医療分野の規制改革に取り組むことは、いわばライフワークです。この度の規制改革会議は、安倍総理が「成長戦略の一丁目一番地」とおっしゃったように、日本経済活性化のために不可欠なものだと考えます。健康・医療WGの提言案では、再生医療について「健康長寿への貢献や、医療関連産業として我が国の経済成長に資することが期待されている」とし、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った再生医療を早期に医療現場で実用化させるための「条件・期限付き承認」制度の導入を求めたり、医療機器の規制改革について審査の迅速化なども盛り込まれています。専門委員として医療/病院経営の専門家の立ち場から意見することで、微力ながら経済活性化の力になれればと考えています。