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昭和36年以降50年間の日本社会の変化また後半は、「医療は医学の社会的適応である」という、元日本医師会会長の武見太郎先生の言葉を紹介しながら、昭和36年に作られた日本の健康保険制度が現代社会に適応していないことについても言及しました。当時の死因の多くは感染症でした。その後抗生物質が開発されたおかげで感染症で亡くなる方はほとんどいなくなり、現在では死因のほとんどが成人病です。疾病構造の変化や医療技術の進歩、少子高齢化や国の財政状況の悪化等、この50年で様々なことが変化しています。健康保険制度もそういった変化にあわせて変革すべきだと考えています。

特に、高齢者の医療費は現役世代の5倍程かかり、「保険」という考え方では成り立ちません。私は、現在日本では出来高払いになっている診療報酬を、入院患者の病名について定額払いにすることを検討をすべきだと考えています。高齢者が入院をきっかけにして認知機能が低下したり、廃用性筋萎縮が起こる等、マイナスの面も多くあるのです。高齢者の医療は、高齢者一人ひとりの「尊厳」に配慮し、本当に必要なものが行われるべきです。
そのような話を紹介しながら、不必要な延命や、不幸な長寿を避け、少子高齢化に対応した医療制度の実現が必要だという持論を展開しました。

講義の様子

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