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また、グループの紹介の後、日本の医療政策に関して、以下のような私の考えを講義しました。

私は、昨年から内閣府の規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループの専門委員をつとめています。医療分野の規制改革に取り組むことは私のライフワークであり、20年間ぶれずに発言をしてきました。私は病院経営に必要なものは、マネジメント能力と、国の制度の仕組みを知り、見通しを持つことだと考えています。

日本の平均寿命は世界最高水準であり、それを背景に日本の医療制度もよいものだという風潮があります。しかし私は、それには矛盾があると感じています。健康寿命と平均寿命の差が大きい点です。この差が今、社会問題となっています。健康的に元気に生きて、そして亡くなる、ということは大切なことです。

講義の様子

日本の医療の特長は、フリーアクセスである点です。患者は自由に病院を選べます。そして、安い医療費で高度な医療を受けることができます。しかし、一方で高齢者の医療費については、その金額は増える一方です。そこで、若い人の保険や公費から高齢者の医療費を拠出しているのが現状です。高齢者の人口ピークは2025年に向かえる予定です。また、高齢者は若い人の4.6倍の医療費がかかると言われています。しかし、人口が減り、日本には若い人が少なくなっています。人口も増え、国が潤っている時は、この制度はすばらしいと思うのですが、国の財政が逼迫している今日、この制度を継続していくのは厳しいのが現状です。

講義の様子

30年程前に、元厚生労働保険局長の吉村 仁氏が医療費亡国論すなわち、医療費が国を潰すという説を唱えました。それを読んだとき、私はまだ20歳代で、「国が潰れるということがあるのか?」と疑問を抱きました。しかしその後、実際にソ連が潰れました。国が潰れてしまえば医療を提供することもできないのです。日本という国が潰れないようにするためにも、医療費は抑制しなければならないと私は考えます。

講義の様子

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