■ 第1次橋本内閣規制緩和委員会の答申「光り輝く国をめざして」では、それまで聖域として規制緩和の対象外だった医療や福祉なども例外ではないと示されました。そして、規制緩和の基本的な考え方として「経営能力、マネジメント能力があるところが効率的かつ、良いサービスを展開する」という提言がなされました。私はその考えに共鳴し、これからの日本の医療を考えたときに、「限られた財源の中で効率的に質の高い医療を提供するためには、株式会社による病院経営が不可欠」という考えに至りました。そして以降私が理事長になってからは、その考えのもとにグループを運営してきました。
■ 2004年には、私が委員長を務めた経済同友会の医療改革委員会において‘「医療先進国ニッポン」を目指して’というタイトルで医療経済規制の撤廃、参入規制の撤廃などの提言をおこないました。さらに現在行われている内閣府の規制改革会議では混合医療の解禁についても提言しました。これらの提言について、現在進んでいるとは言えませんが、私は日本の医療を存続させる為に必要なことであると信念をもっているため、諦めず提言していきたいと考えています。また政策について提言するだけではなく、実行できるようにすることも役割だと考えています。
■ 日本は、戦争が終わり、高度経済成長期を経て、現在成熟期に入っています。今後人口も減少します。そのような中でかつてのような成長を前提とした時代の制度を維持することはできません。日本は、このような困難な状況にある今こそ、「成熟した先進国」のモデルとなり得る医療制度を確立すべきなのです。患者自身が自分の価値観に基づき、医療を選択できる医療先進国日本へと変化していくべきだと考えています。本日、講義を受けている皆さんも、「光り輝くニッポン」つくるためにどのような政策を行うべきなのか、考えて欲しいと思います。