2015.6.24
また、グループの紹介の後、日本の医療政策に関して、以下のような内容の講義を行いました。
日本が解決しなければいけない問題の一つに、平均寿命と健康寿命の差があります。その差は、男性で9.13年女性で12.68年です。この差が悲劇を生み出しています。老人の孤独死というのが、以前はニュースになっていましたが、最近ではあまり報道されなくなりました。これは、孤独死がなくなったわけでなく、孤独死が多くなり、当たり前となったためにニュース性がなくなったのです。多くの人が人生の最後を悲惨な形で過ごさないで済むようになるためにはどうしたらいいのか、学生の皆さんには考えて欲しいと思います。
日本の医療費は、2025年にピークを迎えると推計されています。一人あたり医療費を比較すると、75歳未満に比べ、75歳以上の人は4.6倍に増えます。我が国の高齢化率が他に例を見ない速度で進んでいる中ですが、国民負担率は諸外国と比べても低く、特例公債等の発行を通じて、将来世代に負担を先送りしているのが我が国の現状です。
30年程前に、元厚生労働保険局長の吉村 仁氏が医療費亡国論すなわち、医療費が国を潰すという説を唱えました。それを初めて読んだとき、私はまだ若く、「国が潰れる」ということに疑問を抱きました。しかしその後、実際にソ連が崩壊しました。これをきっかけに、医療介護という領域も聖域ではなく、社会保障費の増加を抑制することが必要であると考えるようになりました。