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  • 日本の医療保険制度は、昭和36年に制度が作られてから、その内容が大きく変更されていません。しかし、疾病構造の変化、医療技術の向上、核家族化、少子高齢化、国の財政の悪化など、日本社会は大きく変化しています。社会の変化を無視して、かつての成長を前提とした時代の制度を維持することはできません。元日本医師会会長の武見太郎先生が、「医療は医学の社会的適応である」と述べられていますが、医療が社会に適応していないのが今の状況なのだと思います。

    ´医療´は医学の社会的適応である
  • 「命は地球よりも重い」という考えから、1分でも1秒でも患者さんの命を長くすることが医師の使命であると医学部では教えられます。しかし、本当にそれだけでいいのでしょうか。人の尊厳を失ってもなお長生きすることが良いことなのでしょうか。例えば高齢者の方が病気で入院することには、メリットとデメリットがあります。メリットは「効果的な治療を受けられる」ことです。しかし、デメリットとして入院をきっかけとして「せん妄、認知機能の低下」「廃用性筋萎縮」など入院関連機能障害が出ることがあります。病気は治ったのに、元気に帰ることができないということが起こるのです。

    入院加療のメリットと副作用
  • 医療制度改革を構成するすべてのシステムの大きな転換が必要です。医療提供体制の改革、診療報酬体系の改革、医療保険制度の改革を行い、少子高齢社会に対応した医療制度を実現しなければなりません。具体的には、高齢者の保険と若い人の保険を分ける必要があると考えています。しかし、痛みを伴わない改革はなく、実行するのは大変困難であると感じています。学生の皆さんが、このような政策に興味を持ちその実現に向けて取り組んでいくことを期待します。

    医療制度改革の基本方針
講義の様子

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