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事例1
- 患者プロフィール
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年齢:80代
疾病:直腸がん、再発
入院目的:療養病床で看取る
- 経過
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入院時の病状説明において、家族は「延命は望まないが、本人の意識があるうちは全ておこなってほしい」との希望。その後下血があり、主治医から輸血を試みても状況は変わらないであろうとの説明がされる。家族は、できることはおこなってほしいと、転院を希望。その後、転院先で9日後に死亡。
- ディスカッションポイント
- 家族がなぜ転院を希望したか?
医師のディスカッション内容
- 下血を起こすのは予測の範疇内なので、その時に「どのような対応ができるか」「どのような部分で患者さんは辛い思いをされるか」とういうことを、実際に下血が起こる前にご家族にお話しすべきであった。
- 「本人の意識があるうち」という状態の、主治医とご家族の認識の違いがあるのではないか。そのような認識のズレをディスカッション等で合わせていくことも重要だと思う。
- 特にこういった方への輸血は、私たちも悩ましい時がある。ただ、輸血自体がご本人の症状の緩和につながる可能性もあるので、輸血を緩和療法の一つとしてとらえつつ、ご家族と一緒に相談を重ねていくべきではないかと考えた。
長尾先生コメント
- 在宅でも下血が起こることはあるが、「下血ですぐに死ぬことは普通はないよ」とご家族に伝えて安心させます。
- 事例では「意識があるうちは」と話されていますが、末期ガンの場合は亡くなる直前まで意識があるのが特徴という話もご家族にすると思います。