- >Vol.143
- >理事長トーク
- HOME
タイトルバー
事例3
- 患者プロフィール
-
年齢:70代
疾病:塞栓性脳梗塞(心房細動)
入院目的:療養目的
- 経過
-
脳梗塞発症後より嚥下障害が顕著で、口腔内の唾液も処理できない状況であった。訓練し、嚥下評価を行ったが、改善が見られずにいた。経鼻胃管は苦痛が強く、自己抜去を繰り返す。主治医から家族に、PEG挿入後も肺炎は続くことが予測され病状の改善は期待でいないと説明がされる。家族は苦痛を緩和させたいとPEGを希望、本人もPEGを試みたいと同意される。転院後、肺炎が改善せず、結果PEG造設には至らず14日後に死亡。
- ディスカッションポイント
- 主治医の説明は正しかったのか?
医師のディスカッション内容
- ご家族が胃瘻を入れれば状況がよくなるのではないかという期待がかなりあるように見受けられ、主治医の説明の中で「胃瘻を入れることで、すべてを解決できるわけではない」というところを、もっとしっかり説明していくべきではなかったかと思われた。
- 嚥下機能がかなり落ちてきている方の肺炎の予後についても、主治医の方からご家族と患者さんに説明をすべきであった。
- 結局この患者さんは転院後に亡くなっているので、当院でできる抗生剤や酸素等の治療の説明をして、様々なうちの病院でもできる治療を選択していけばよかったのではないかということが話された。
長尾先生コメント
- 経験からいうと、嚥下評価は実際に食べられることと必ずしも一致しません。VFで食べられないと評価されても、食べることができる例もあります。
- この方は悪性脳梗塞ですので、まずご家族には予後は悪いということを伝えます。
- PEGをやってもいいし、やらなくてもいいとお話しすると思いますが、「改善の期待はあまりもてない」ということをお話しします。この事例では、経鼻胃管の自己抜去を繰り返しています。その時点で、ご本人は、食べたくないという意思を示していると思います。その意志を尊重してあげてもいいのではないかというようなことを、私だったらお話しすると思います。