現在の健育会グループでは、患者さんやご利用者の体調が急変した際に、ご本人・ご家族のご要望や主治医の判断で急性期病院に転送するケースがあリます。そのような時、転院先でお元気になられれば、もちろんその判断は正しかったことになります。しかし、もし転院先でお亡くなりになった場合、医師は人生の最終段階にある患者さんに本来必要のない苦しみを与えたこと、そして、患者さん・ご家族としっかりと信頼関係が築けていなかったことを反省してほしいと思います。
私は、人生の最終段階にある患者さん・ご利用者に安らかな死を迎えていただくためには、それまで過ごされてきた医療・介護施設でお看取りできることが一番だと思います。ですから健育会の病院・施設においては、患者さん・ご利用者、ご家族のお気持ちに寄り添い、最期まで責任を持って対応して欲しいと考えています。そして時期や状況によって揺れ動くご本人やご家族のお気持ちを支え続けてほしいと思います。
これらすべての根幹となるのが「人間の尊厳は平等」です。たとえ意思疎通が難しい状態でも、最期を迎えるその瞬間まで、人間としての尊厳を大切にし、患者さん・ご利用者とそのご家族と向き合い、寄り添う努力を積み重ねた結果が、「その人らしく最後まで幸せに生き、納得した最期を迎えていただく」ことに繋がっていくのだと考えています。
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」には前回公表されたガイドラインからの改訂点として、「本人が自らの意思を伝えられない状態となる可能性を踏まえて、本人の意思を推定し得る人も含めて、人生の最終段階における医療やケアの方針について繰り返し話し合うこと(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)の重要性」などが盛り込まれています。職員の皆さんには、健育会グループに関わる患者さん・ご利用者が人生の最終段階となった時、「最期の瞬間まで尊厳ある生き方」を実現し「納得の死」を迎えられるよう、今回のようなガイドラインや様々な文献も参考にしながら、常に最良な方法を考え、人間力を養って行動して欲しいと考えています。
平成30年3月14日厚生労働省
「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について