《追伸》
2016年7月26日には、NHK特報首都圏「最期の医療をどうするか〜命をめぐる選択〜」の制作を実際に行った NHKディレクター 西山穂さんと意見交換をさせて頂く機会がありました。
- 特報首都圏の時に紹介した病院よりも、さらに搬送件数の多い救急救命センターを取材させていただいているが、搬送されてくる患者さんのおおよそ8割が高齢者で、8割の高齢者のうち4割が85歳以上の超高齢者でほぼ慢性的な誤嚥性肺炎や老衰による心停止で運ばれてくる現状がある。運ばれてきた初めて診る患者さんに延命中止という判断はなかなかできず、激しい蘇生をやらざるを得ないため、医師たちは悩んでいる。
- 救急救命センターの看護師は、昔はお子さんや若い方が事故ややけどで亡くなるのに耐えられなくて辞めていかれる方が多かったが、今は高齢者の方ばかりが運ばれてくるので、自分の目指していた医療とは違うという理由で辞めていかれる方が多い。
- 入院の透析を行っている患者さんのうち、ほとんどが重度認知症を患っているという病院があった。約2割はご家族とお話しして、透析を徐々に中止し、穏やかにエンディングされるが、それ以外の方はご家族の同意が得られずに透析中に突発に亡くなる。透析現場の終末期の問題は、本当に深刻である。
- 海外からは日本の平均寿命への疑問もあげられ、「長寿社会」ではなく「長命社会」だという批判もある。
西山さんとお話ししてTVで紹介されていた以上に、深刻な現実があることを知りました。私からは、「平均寿命と健康寿命の差から生まれる様々な問題を色々な角度から番組として取り扱って欲しい」という要望をお伝えしました。